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孤独死7万6020人。警察庁がはじめて数えた
立ち止まるべきなのは、合計のほうではありません。
長いあいだ、孤独死は数字のない言葉でした。誰もが知っていて、新聞にも出て、そのあとの部屋を片づけることを専門にする会社まである。それなのに「で、何人ですか」と聞くと、保険の請求記録や自治体のデータから組み立てた推計が返ってきて、どれ一つとして一致しませんでした。
2024年、警察庁がついに数えました。孤独死そのものではありません。その言葉には法律上の定義がないからです。数えたのは、いちばん近い測定可能な対象、つまり「自宅において死亡した一人暮らしの者」です。答えは7万6020人でした。
集計の中身
7万6020人のうち、5万8044人が65歳以上。76.4%です。年齢帯で最も多いのは85歳以上で1万4658人、次いで75〜79歳が1万2567人、70〜74歳が1万1600人でした。
都道府県別では東京都が7,699人で最も多く、大阪府5,329人、神奈川県3,659人、愛知県3,411人と続きます。一人暮らしの人が多い場所ほど数が多いので、順位そのものに驚きはありません。それでも自分の住む街がその表の一番上にあるのを見るのは、妙な気分です。
そして、話の形を変えてしまう数字がここにあります。65歳以上のうち、死亡推定時点から発見までが最も多かったのは「当日から1日」で39.2%。大半はすぐに見つかっています。誰かが気づいたということです。
そのうえで、7.8%、実数で4,538人が1か月以上経ってから発見されています。
ひとりで死ぬことと、孤立して死ぬこと
この数字は雑に使われがちなので、丁寧に扱いたいと思います。
7万6000人が自宅でひとりで亡くなること自体は、それだけではスキャンダルではありません。日本には75歳を超えた人が膨大にいて、単身世帯の割合も上がり続けています。88歳で一人暮らしなら、自宅でひとりで亡くなる可能性は十分にあって、それが本人の望みだったということもあります。病院の廊下ではなく自分の部屋で最期を迎えるのは失敗ではありません。そう決めている人はたくさんいます。
1日以内に見つかった39.2%は、社会のつながりが機能している話です。カーテンが開かないことに隣の人が気づいた。娘が電話して出ないから新幹線に乗った。ヘルパーがいつも通り火曜日に来た。
4,538人は、別の話です。1か月以上というのは、誰も電話しなかったということです。誰も訪ねなかった。途切れたら誰かが気づくような習慣が、そもそも存在しなかった。建物は、においが廊下に届くまで関心を持たなかった。これは死亡統計ではなく、人間関係の統計です。事後に警察が記録することになった、というだけで。
この記事から数字を一つだけ持ち帰るなら、7万6020ではなく、4,538のほうにしてください。
隣人の代わりになった仕組み
日本はこの問題のまわりに、驚くほどの量の技術を積み上げてきました。探さないと見えないだけです。
使うと家族にメッセージが飛ぶ電気ポット。水道の使用量が動かないことを検知する仕組み。自治体と企業が結ぶ見守り協定で、配達員やコンビニの店員が異変に気づく役を担う。生活保護の受給世帯に置かれるセンサー。品のあるものもあれば、そうでないものもあります。ただ全部に共通しているのは、これがかつて「近所の人が生活リズムを知っている」という形で無料で提供されていた何かの、代替品だということです。
私はこれを馬鹿にしているのではありません。実際に機能します。2日間まったく水が流れていないという信号は、何もないよりずっといい。それで助かった人がいます。ただ同時に、何が失われたのかも教えてくれます。ここに並ぶ仕組みはどれも、人が近くに住んでいれば勝手に発生していた注意を、センサーで再構成しようとする試みだからです。
その前の何年かについて
警察の集計が記録するのは、終わりです。その前の何年かを記録しているのは内閣府の孤独に関する調査で、私にはそちらのほうが読むのがつらい。
令和6年の調査では、同居していない家族や友人と直接会って話すことが「全くない」と答えた人が9.3%。まれに、ではなく、全くない。そして社会活動に「特に参加はしていない」人が50.6%でした。
4,538人は、その分布の裾から出てきます。特別に不運な別の集団ではありません。ほとんどの人がどこかに乗っている、ふつうの分布の端です。
コンパニオンアプリが正直であるべきところ
私はAIコンパニオンをつくっているので、ここでできることとできないことをはっきり言っておきます。
スマートフォンのアプリは、午前3時の脳卒中を止めません。助けも呼びません。AnimaEcho は見守りサービスではないし、あなたを監視してもいません。開かなくなったら、開かなくなるだけで、何も起きません。コンパニオンアプリを高齢の親の安全網として売る人がいたら、それは実物ではないものを売っています。
正直な主張はもっと小さくて、最後の夜ではなく、その前の何年かに属しています。高齢期の孤独は、会話のない何でもない一日の積み重ねでできています。天気の話をする相手。膝の調子を聞いてくれる相手。ソフトウェアがその時間のいくらかをテレビより温かい何かで埋められるなら、それは人生に対する本当の貢献です。そして、何かを防いだと主張することとは別のことです。
安全の問題そのものへの答えは、退屈で物理的です。番号を知っている隣人。決まった曜日に電話してくる家族。自治体の見守りサービス。必要ならセンサー。親御さんを区の見守りに登録してください。ここで命を救うテクノロジーは水道メーターであって、チャットボットではありません。
何度も戻ってくること
日本は「ひとりで死ぬことに特有の問題を抱えた国」として書かれがちです。ここに長く住んでいる立場から言うと、それは逆だと思います。日本にあるのは、それを測ろうとする珍しい意志のほうです。
自国の市民が何人ひとりで亡くなり、何日そこに横たわっているかを知らない国のほうが多い。数える仕事を誰にも頼んでいないからです。日本は数えて、公表して、いちばん悪い形に数字をつけました。それは衰退ではありません。国家が「見る」と決めたということです。
4,538人は、どちらにしても明日の朝もそこにあります。ただ、いまはもう、誰かが説明しなければならない数字になりました。
よくある質問
孤独死とは何ですか
自宅でひとりで亡くなり、しばらく発見されない死を指す言葉です。法律上の統一された定義はありません。だからこそ警察庁の集計に意味があります。「自宅において死亡した一人暮らしの者」という、測定できる代理指標を与えたからです。
日本では毎年何人が孤独死していますか
警察庁は2024年に7万6020人と集計しました。年間の数字が公表されたのはこれが初めてです。うち5万8044人が65歳以上でした。
発見までにどれくらいかかっていますか
2024年の集計では、65歳以上のうち最も多かったのは当日から1日で39.2%。一方で7.8%、実数で4,538人が1か月以上経ってから発見されています。
孤独死は高齢者だけの問題ですか
いいえ。2024年の集計の約4分の1は65歳未満です。ただし高齢層に大きく偏っており、最も人数が多い年齢帯は85歳以上の1万4658人でした。
テクノロジーで防げたのでしょうか
多くは防げません。隣の部屋に人がいても起きた医学的な出来事が相当数を占めます。技術が変えられるのは、亡くなってから見つかるまでの空白のほうです。それは孤独とは別の問題です。